【現実を見よう】経済格差の真実 Part2
今のご時世。低賃金と騒ぎ立てられることが多いと感じます。
『経済格差』という単語は新聞やニュースを見ていれば何度も聞いた単語でしょう。もちろんそれ以外の場所でも聞いたことはあると思います。
今回はその経済格差についてみていきたいと思います。
前回の記事↓ 今回の記事で用いるローレンツ曲線とジニ係数について解説しています。
2 日本の経済格差は進行しているのか?
1 まずはデータを見よう
これは厚生労働省が発表した所得再分配におけるジニ係数の変遷である。
見ていただければわかると思いますがこのグラフから以下のことがわかります。
① 所得再分配の前後でジニ係数が低下していることから、所得再分配は有効である。
② 当初所得のジニ係数は増加しているが、再分配後のジニ係数はほぼ横ばいである。このことから当初格差の拡大は所得再分配によって抑えられているといえる。
2 ジニ係数は増加していることは問題では?
そういった危惧を持つ人もいると思います。
再分配で抑えられているといっても、ジニ係数が年々増加しているということは大きな問題のように思えます。
しかし、ジニ係数が上昇する原因はいくつかあるということを考えなくてはなりません。
単純に給料の増減だけがジニ係数に影響を及ぼすだけではありません。ライフスタイルや日本の環境もまた、ジニ係数に影響を与えるのです。
この調査書ではその原因を高齢者の増加と世帯の小規模化と定めています。
この二つは耳にタコができるほどきいたことがあるキーワードだと思いますが、ここではジニ係数の関連性について解説を挟みたいと思います。
定年ということを考えると、60代以降は退職する率が大幅に上昇します。退職した場合の収入源は基本的に年金あるいは貯蓄になるため、所得は必然的に少なくなります。
つまり高齢者の割合が増える=所得が少ない年齢層が増える
ということで、所得格差が広がるというのは当然のことであると考えられます。
世帯の小規模化は、一人暮らしをする場合・親と同居する場合を考えると一目瞭然です。家賃や食費を割り勘したほうが安くなりますよね?
そのためで世帯規模が縮小すると出費が増え、所得格差が広がると考えることができます。
3 ここまでの結論
以上のことから、日本は少子高齢化・世帯の小規模化という社会問題がありながらも所得再分配によって世帯間の平等を維持しようと努めているということがわかります。
現に、ここ十年以上は再分配後のジニ係数は一定に保てています。
ここまでを見る限りでは、所得再分配は成功しているように見えます。
しかしながら、現段階では再分配は数値でしか判断されていません。
本当に意味のある再分配ができているのか、弱者救済としての効力があるのかは、これを見ただけで判別することはできません。
そこで次回は所得再分配は本当に意味のある政策なのか、という点に絞ってみていきたいと思います。