【それ正しい知識?】 年金に関する本当の話 Part4
こんにちは、ミヤムラです。
よく聞く「お年寄りを支える若者が減っている」という意味、本当に正しく理解していますか? 実は年金制度すべてに原因があるのではなく、その運用方法に問題があるだけなのです。
これを機に、年金制度を深く知ってみませんか?
これまで制度や歴史を振り返ってきたPart1~3はこちらから
1 じゃあ年金制度の問題点って何?
これまで見てきたように、高度成長期にあたり国全体で高齢者を支えていくというシステムが確立し始めました。若いうちの負担で、国が将来を保証してくれるというのは福祉国家として非常にいい仕組みだと思います。
さらに、年金制度で積み立てたお金を利用して、国としても利益をあげています。
「若いうちに支援するから、歳を取ったら支援してね」
この制度の何が問題なのでしょうか?
キーワードは「少子高齢化」と「経済成長」です。
1 現在の日本の状況について
このようにここ50年で日本の人口構成は大きく変遷しました。
1965年には総人口に占める65歳以上の割合は6.3%であったのに対し、2015年には26.6%にも増加しています。
また、出生率も減少傾向にあり、1960年代までは2.00近くあった合計特殊出生率は2005年には1.26を記録しています。近年は徐々に増加していますが、それでも1.40前後でしかありません。
(厚生労働省 「人口動態統計」)
近年の日本はこうした少子高齢化が急速に進行しています。
2 世代間不公平の問題
確かに年金という制度は社会的に見るとすごくいい制度だと思います。
しかし、問題となっているのは年金制度の在り方です。
年金制度には2つの方式があり、「賦課方式」と「積立方式」があります。
2.1 賦課方式について
これは現在日本で行われている「現在の現役世代が、現在の高齢者を支える」制度になります。
これは昔のように、昔のように高齢者が少ない時代であれば、かなり有効的でした。
しかし、少子高齢化が進むと支える現役世代が減り、ひとりあたりの負担が増大します。これが、よく騒がれてている、「年金の世代間格差」になります。
支える人数が増えると、それだけ保険料の負担が増えてしまいますから、以前のように十分な保証ができなくなります。
もちろん、賦課方式を選択してきたことにもメリットや国としての事情があったのですが、少子高齢化が進む中でいまだに賦課方式のままでいることに問題があるといえます。
2.2 積立方式について
積立方式は、「自分たちの将来は自分たちで支える」という仕組みです。
これは現役時代に支払った保険料は自分たちの世代にのみ使用するので、少子高齢化等の人口変化の影響を受けません。
2.3 そして日本の現状は?
日本の年金制度は賦課方式と少子高齢化によって苦しめられています。
賦課方式で、高齢者一人当たりに月10万円支給すると考えます。このとき、支払う人数(=現役世代の人数)が多いほど一人当たりの負担は小さくなります。そのため、昔のような富士山型の人口ピラミッドでは高齢者を支えるとしても、一人に対する負担は小さいものでした。
しかし、現在のつぼ型の人口ピラミッドになると、一人当たりの負担は何倍にもなります。
さらに現在の年金受給者が現役世代の時は、高齢者が少ないため低負担。しかし、支えてくれる人も多いため高需給という上代でした。
一方、現在は少子高齢化が進むため高負担、さらに高齢者になっても支えてくれる人が少ないため低需給という状態に陥るとされています。
これ「払い損」の原理になります。そのため、これからの課題として賦課方式の改善ということがあげられるでしょう。
3 まとめ
現在、少子高齢化の影響で世代間の不公平が目立った状態が続いてきているということがわかりました。
もともとの原因は少子高齢化ですが、それをすぐさま改善することは難しいでしょう。だったらどうするべきかというと、賦課方式という制度自体を変える必要が出てきます。
そこで次回は世代間不公平の根源、賦課方式を何故選択してきたのかを見ていきたいと思います。
※ この記事の作成にあたり出来る限り多くの文献・サイトを参考にしたうえで執筆いたしました。十分に注意しているつもりですが、間違った内容であったり、簡略化するために誤解を生むような表現をしている可能性があります。
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(参考サイト・文献)
厚生労働省 「年金・日本年金機構関係」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/index.html
最終アクセス 2019年6月8日
国立社会保障・人口問題以研究所ホームページ (http://www.ipss.go.jp/)
鈴木亘 (2009年) 「騙されないための年金・医療・介護入門-社会保障改革の正しい見解・考え方」 東洋経済新報
唐鎌直義・小澤薫・久昌以明・宮本悟 「どうする!あなたの社会保障 ③年金」 株式会社旬報社
上村敏之 (2009年)「公的年金と財源の経済学」 日本経済新聞出版社